Rainbow Turtles

メルボルンでの生活

004 - 8 Hours Labour

 

"The present is the living sum-total of the whole past." -  Thomas Carlyle (1795-1881) 

 

こんにちは!

さてさて、今回のテーマは "8 hours labour"「8時間労働」です。オーストラリアは世界から見ても労働者の権利がしっかりと保障されています。

 

オーストラリアに初めて来た時は最低時給の高さに衝撃を受けたのを覚えています。2018年7月11日現在の最低時給は$18.93 (有給休暇が与えられない場合、カジュアル採用は$23.66)。日本円に換算すると1558.60円(1946.75円)7/11レート)です。

 

日本で大学生時代に、ある某大手コーヒーチェーンでアルバイトをしていたのですが、時給は910円でした。都内での時給は一般的に1000円くらいだと思うので、それに比べるとオーストラリアでアルバイトをすれば1.5倍から2倍の給料を貰うことができますね。

 

もちろん物価、生活費が日本と比べて割高な面は多々ありますが、節約マスターになればかなりの貯金をすることができると思います。

 

 

 

他にも、嬉しいことは一杯。

  • 平日の残業最初の2時間は給料50%増... 以降2倍
  • 週末出勤の給料は2倍、祝日出勤は2.5倍
  • 退社から次回の出勤まで12時間の休息が必要、それより以前の出勤が要請された場合2倍の賃金
  • 有給休暇には17.5%の割増給料
  • 長期勤務者には特別有給休暇が付与
  • 女性の出産の際の特別有給休暇18週間  などなど....

正社員、パート社員、カジュアルなど採用形態によって適用される法律は変わってきます。またオーストラリアには連邦政府、6つの州政府と一つの準州政府、特別地域政府があり、合計9の法体系、制度が存在しているのでオーストラリア国内で一律のルールというわけではなく、微妙な違いがあります。日本のように中央集権政治に慣れていると少し違和感を覚えますよね。

これを機会に自身の労働者としての権利をしっかりと調べてみるのもいいかもしれません。以下のオーストラリア政府が運営している(日本でいう労働基準監督署)のサイトでは日本語でオーストラリアにおける労働者としての権利の情報を得ることができます。

Fair Work Ombudsman (日本語訳サイトあり参照可能)

 

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ではなぜオーストラリアはここまで労働者の権利がしっかりと守られているのでしょうか?1800年代前半から労働党が勢力を拡大していったのもあるのですが、その中でも象徴として挙げられるのが1856年4月21日にここメルボルンで起こった"8 hour movement" 「8時間労働運動」が挙げられます。

 

 

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当時メルボルン大学の建設に携わっていた労働者たちが労働時間削減を求めストライキを起こし"888"というメッセージを記したプラカードを掲げ、Parliament House (州議事堂)までデモ行進をしました。この888という3つの連続する8が意味するのは

8 hours work (8時間労働)

8 hours recreation (8時間娯楽)

8 hours rest(8時間休息)

  

このデモ行進は見事に成功し20世紀初頭に世界でも類をみない革新的な、8時間労働制をここオーストラリアで確立する結果に導いたのでした。

 

この8時間労働制の設立者、Thomas Galloway を讃えて1903年記念碑が建てられました。現在はRussel Street とVictoria Streetの角にひっそりと残されています。

 

 

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スコットランド出身、19世紀に活躍したイギリスの歴史家、評論家であるトーマス・カーライルがこんな言葉を残しています。

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「現在というものは過去のすべての生きた集大成である」

 

現在の自分というものはもちろん自身が築き上げてきた集大成でもありますが、社会的に見れば誰かの努力や犠牲の上に現在、恩恵を受けているのだということをこのモニュメントを通して感じました。